2000年9月発行 No.52


新潟県の巻町を憶えていますか?
今年1月16日の町長選挙で原発建設に反対する笹口町長が3選を果たした町です。
新潟市在住の山下立さんから送っていただいた資料を元に、巻町の様子をお知らせします。
巻原発建設の計画が持ち上がったのは、もう30年以上昔ですが、実現化の動きが出てきたのは1994年夏からでした。反対する住民達は、自主管理による原発住民投票 を95年2月に実現させます。投票率45%、反対が95%以上を占めました。
様々な困難を乗り越えて示された民意は、 推進派町長の辞職、「住民投票を実行する会」代表の 笹口町長を誕生させ、96年8月には全国で初めて条例による住民投票 を実現しました。ここでも88%の投票率、61%の反対で民意がどこにあるかが再確認されました。
この民意を受けて、笹口町長は99年8月 原発建設予定の町有地を反対派の住民に売却しました。建設阻止に実効のあるこの措置は新聞などでも大きく報道さました。
住民の皆さんの懸命な運動でなんとかくい止められている巻原発ですが、現実はきびしいです。今年1月の町長選では、投票率85%、票差はわずか267でした。
(投票数約2万)笹口氏の対立候補は「任期中は原発建設凍結」という微妙な言い回しで、原発を争点にする事を避けました。町の問題すべてに原発の対立が影響する生活を余儀なくされている町民にとって、「もう原発問題より町の活性化」 という耳触りの良い主張は、支持したくなるものだったと思います。
笹口町長が3選を果たした後も、東北電力は着工時期を延期することにはしたものの、計画は変えていません。国、県の姿勢も変わりません。
そんな中、7月21日新潟地裁で裁判が始まりました。昨年、町長が町有地を反対派に売却した件について、推進派がこれを 違法、無効として 住民訴訟してものです。23人の反対派地主は全員そろって第1回の口頭弁論に臨みました。これから法廷で推進、反対の主張が争われます。
どうぞ巻町の今後にご注目下さい。
(江藤)

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